ナックルボールの性質について考える

卓球技術

先日ナックルの洗礼をたっぷりと受けて参りました際、
思いのほか対応が難しかった事が気にかかっておりまして。

恐らくナックルボールへの対策は避けては通れない道かと思いますので、ナックルボールとは何か、どんな性質があるのかという所から分析してみようと思います。

ナックルボールとは(概要)

ナックルボールとは、無回転かそれに近い、回転量の少ないボールの総称です。

これを突っつけばポワンとボールが浮き上がり、普通に打球すれば下にボトっと落ちる様な挙動を示します。

 

この様なボールがナックルボールと言われるものかと思いますが、通常のラリー性のボールとどう違うのか、性質の違いについて考えてみます。

通常のラリー性のボールの性質

・上回転(前進回転)が摩擦によりボールの回転方向と進行方向を変える反発力を受ける
・回転により発生する引き攣れが復元する力によってボールを上方向に持ち上げる
・回転への反発と引き攣れによる摩擦力の増加があるため回転をかけやすい

通常のラリー等では、上回転をかけるスイングと台のバウンドにより、自然と上回転(前進回転)がかかります。

これをラバーで返球する際には、上回転(前進回転)の力をラバーが受け止めるため、ボールはより強くラバーに食い込み、ラバー表面に引き攣れが起こります。

この上回転(前進回転)の反発力と引き攣れが復元する力によって、ボールが上方向に持ち上がって返球されるのでネットを越しやすくなっています。

また、この回転の反発力と引き攣れによってボールとラバーの間には強い摩擦力が生まれるため、ボールに強く回転をかけ返す事が可能になっています。

ナックルボールの性質

・無回転(弱回転)のため、回転力と摩擦によって生まれる反発力がボールにかからない
・回転が無いためラバーに引き攣れが起こりにくい
・回転への反発と引き攣れによる摩擦力の増加が殆ど無いため回転をかけにくい

ナックルボールは回転力が無いため、ボールがラバーに接触した際、回転の反発力は発生しません。

また、同様に回転力が無いためラバーの引き攣れは殆ど起こりません。

これら回転の反発力と引き攣れの復元が無いため、ボールを持ち上げる力が発生せず、摩擦力の増加もありません。

また、同様に反発力も引き攣れも無い為にラバーはボールを深く掴まず、ボールはただ跳ね返るだけになり球離れも早くなります。

摩擦の増加も無く球離れも早い事から、回転をかけにくいという状態も生まれます。

ナックルボールが何故難しいのか

ナックルボールを受けるという事はつまり、

上に上がる力と摩擦の少ない状態を強要される

という事になります。

 

ナックルボールを普通の打球方法で打球した際には、ネットを越すための上方向の力が弱く、素直に落ちて行ってしまうため多くがネットにかかってしまいます。

また、ツッツキの様にボールの下をすくえば、ラケットに真っすぐ反発する力が一番大きくなり、まさに玉突きの様にボールが高く浮いてしまいます。

 

回転と摩擦ありきの通常のラリーに当てはまらない状態となる事が、ナックルボールを打球する難しさの理由かと思います。

また、これらの性質があるナックルボールを意図的に使う場合、相手にナックルボールである事を判らない様に繰り出される事が多く、ナックルボールへの対応をさらに難しくしていると思います。

 

少々大袈裟になってしまいましたが、ナックルボールが何故打ちづらく返球が難しいのかをざっくりとまとめてみました。

ボールの回転と摩擦が前提となっている卓球のラリースタイルを突然覆すナックルは、非常に攻撃的なボールであると言って良いと思います。

これをどう返球するのか等ついては、私自身がこれらを上手く処理出来て居ない現状ですので後日に回したいと思います。