無回転のナックルサーブの出し方と調整方法

卓球技術,練習

先日、ナックルボールの性質について記事に書かせていただきました。

しかしゲームのラリー中にナックルを選んで出し分けて来る事は、技術の難易度の点からなかなか遭遇しづらい事と思います。

では、ナックルボールにはいつ遭遇するのかといえば、サーブレシーブの時が殆どでしょう。

私自身、サーブは数える程も持ち合わせておりませんが、これらの持ち球にナックルサーブを混ぜれば非常に効果的だと思いますので、先日作成した「回転がわか~るボール」で少し検証して参りました。

その際にいくつか気が付いた事がありましたので、今回はナックルサーブの出し方と調整方法について少し書かせて頂こうと思います。

ナックルサーブの出し方と必要な要素

ナックルサーブの出し方を調べてみますと、前にポンと押し出す様にサーブを出すという記述が多いと思います。

これの他には、下回転サーブのフォームのままボールを擦らないで当てる方法や、ラケットの先端、若しくはラケットの端に当ててサーブをする方法等が見受けられます。

後者のこれらはつまり、弱い下回転をかける事を共通して示していると理解できます。

よってこれらをまとめると、以下の2種類に集約されるのかなと思います。

・ボールに回転をかけずに押し出す方法
・ボールに僅かに下回転をかける方法

そこで実際にこの二つの出し方で、どの様なナックルサーブが出せるのか確認してみました。

ボールに回転をかけずに押し出す方法

まず実施したのは、ボールに回転をかけずに押し出す、当てるだけのナックルサーブです。

回転がわか~るボールで回転の挙動を確認すると、確かに手元では無回転でした。

しかし自分のコートの1バウンド目で少し上回転が発生し、相手コートの2バウンド目でわりと普通の上回転にまで回転が加速してしまいます。

この時の回転量は、自分で出せる下回転の最大を-10、無回転を0とすると、サーブ直後の回転量は0、2バウンド時の上回転量が2くらいの回転量かと思います。

手元で無回転の状態となる押し出すタイプのナックルサーブでは、相手が打球する2バウンド目には、あまり無回転を維持出来ていない事が判ります。

このため、レシーブ側ではナックルなのではないかと迷った挙句、バシーン!と叩いてしまったとしても、相手コートにわりとしっかり返ってしまいます。

ナックルボールの範疇ではあるのかもしれませんが、上回転が一定以上乗ってしまっている為に、それほど打ちづらいボールでは無くなってしまっておりました。

 

尚、ネットギリギリに落ちる様な本当に短いサーブであるならば、前進回転がかかる力が弱く、ナックルボールの特性を維持していると思います。

これはボールが進む速度と同じ速度までしか前進回転の力がかからない為です。

つまりスピードの速いサーブの場合には、わりとしっかりと前進回転がかかってしまいます。

この事から、ボールのスピードもナックルサーブを調節する上では一定の要素になっているという事が判ります。

ボールに僅かに下回転をかける方法

では続きまして、ボールに僅かに下回転をかける方法でサーブを試してみました。

この方法は、下回転を出すフォームのまま押し出す方法や、ラケットの端に当てる方法等が例として挙げられていました。

これらを個別に行ってみると、それぞれの方法で回転量がかなり異なってしまいます。

しかしどれも下回転を弱くかけるという主旨の方法例に他なりませんので、普通の下回転を出すフォームで、限りなく弱く出すという方法に集約しました。

どのくらいの下回転かよく判りませんでしたので、とにかく僅かに下回転をかけるという意識で何度か試みてみました。

 

回転がわか~るボールで回転の挙動を確認しながら何度か試みると、バウンド毎に下回転が減っていき、相手が打つ2バウンド目にほぼ無回転になるナックルサーブを出す事ができました。

この時の回転量は、自分で出せる下回転の最大を-10、無回転を0とすると、-2くらいの回転量かと思います。

 

これらの事から、無回転のナックルサーブを出す際には、バウンド時に上回転がかかるのを考慮しなくてはいけないという事が判ります。

相手が打球する2バウンド目に無回転となるナックルサーブを出すには、弱い下回転をかけてバウンド時にかかる上回転を相殺する必要がある様です。

 

さて調子に乗って2バウンド目に無回転となるナックルサーブを何度も試みていると、手元では大体同じ回転量であるのに、2バウンド時に下回転が残っていたり上回転が掛かっていたりと結構なブレがある事に気が付きまして。

勿論、私の出す下回転の調節やボールの速度制御がイマイチな事も考えましたが、それの他にもうひとつの傾向がある事が判りました。

バウンドの高さによっても上回転する力が変わる

これまでの試みでは手元の回転量とボールの速度にばかり注視していた為に、バウンドの高さを揃えていなかった様でして。

試しに同じ様な回転量でバウンドの高さを変えて出してみると、バウンド時にかかる上回転方向の力のかかり方に、一定の規則性が見えて来ました。

再び感覚的な話で大変恐縮ですが、、、

これまた自分で出せる下回転の最大を-10、無回転を0とすると、バウンドの高さによって以下の様な規則性がある事が判りました。

・ネットをぎりぎり超える高さのバウンド:0.4~0.7くらい減少
・ネットの2倍くらいまでの高さのバウンド:0.8~1.8くらい減少
・ネットの3倍くらいまでの高さのバウンド:2くらい減少

この事から、バウンドが高くボールが台に当たる力が強いほど、上回転は強くかかる(下回転は減少する)という事が判ります。


※図は2バウンドで無回転となるナックルサーブを出した時の、感覚的な目安の数字です。

台に強く当たれば摩擦も大きく、台に弱く当たれば摩擦が小さい、という

わざわざ文字に起こさずとも、当たり前な事ではあるのですけれど・・・

バウンドの高さがもたらすボールの回転への影響は、ナックルサーブ等の少々繊細なシーンでは、当初思っていたより大きい様です。

無回転ナックルサーブに必要な要素と使い方

これまで試した結果、相手が打球するタイミングでボールの回転が停止した無回転状態を作り出すには、バウンドの高さも考慮して自分がかける下回転の量を調節する必要がある事が判りました。

これらの事から、相手が打球できる2バウンド目に無回転の状態を作り出すには、以下の3つの要素を調節する必要があります。

・ボールが進む速度を上限とした上回転力
・ボールの高さによる摩擦力
・ボールの進む速度とボールの高さの摩擦力を計算に入れた、ボールにかける下回転量

文字にするとわりと難しそうですね( ^ω^)・・・

 

ところで、完全無回転のナックルサーブが取りづらいかというと、はじめからナックルと判って居ればたいして怖いものではありません。

実際のゲームでは、別の回転のサーブであるかの様に偽装してナックルサーブを使う事で、突っついて浮かせたり、ネットにかけさせたりする訳です。

つまりは、

どのくらいの回転量で、どのくらいの速さと高さで出せば無回転になるのか

この様な感覚や目安を覚えておく事で、あらゆるサーブのフォームに混ぜ込んで応用できる様なる訳です。

私の場合ですと「無回転にするには下回転量は-1.5~-2くらい、相手コートで2バウンドするくらいの速さ、バウンドの高さはネットの2倍まで」の様な感じです。

無回転のナックルボールになる基準のイメージがあれば、普段のサーブとは異なるフォームでナックルを出そうとしても、一発でわりと近いものが出せると思います。

使用しているラバーの種類や個人のフォーム、振りの速さによってこの基準は異なってきますので、自分専用の基準を持つ事が大切です。

 

長々と書かせて頂きましたが、これらの事からナックルサーブを持ち球に加えるなら、完全な無回転のナックルサーブを練習しておく事をお勧めいたします。

回転がわか~るボール、非常に役に立ってくれました。^^

 

さてナックルサーブを使う場面をあれこれ考えると、面白い事が出来そうな予感がします。

例えば、下回転サーブである事を見せつけながら、実際に下回転をかけて速め+高いバウンドの上回転力で相殺し、サーブミスの様な浮いて長い下回転サーブに見せるとか

上回転のロングサーブの様に見せかけた低くて速いナックルサーブを出すとか

前後のサーブの種類からギャップを作り、わざと少し上回転や少し下回転のナックルサーブを出すなんてのも面白いですね。

想定外を生ませるナックルサーブ

妄想が捗ります( ^ω^)・・・

 

尚、横回転系のサーブではバウンド時に下回転の減少は発生しません。

この場合、下回転系だけが減少する事は無く、全体的に少し回転量が落ちるといった動きをします。

そして回転量が普通の横回転サーブくらいに有るならば、バウンド後に回転軸がずっと前傾し続ける事は無く、僅かに回転軸が前傾する程度で止まります。

これは回転のジャイロ効果によるものと思われますが、詳しい解説はここでは省きます。

 

バウンドがボールに与える影響を考えていくと、回転がわか~るボールを使えばジャイロサーブもわりと簡単に習得できる様な気がしますね。

気がするだけですが( ^ω^)・・・